子どもからの「なんで?」という問いを通して、大人の謝罪やプライドの本質を考察します。親子関係や心の成長についても丁寧に解説します。
ねえママ、さっきのおじさん、ぶつかったのに何も言わなかったよね。
私、結構よろけたんだけど。あの人、忍者みたいにスッて消えちゃった
忍者(笑)確かに、すごい早かったね。でも、謝るべきだったと思うよ
だよね!
私だって、走ってるときにぶつかっても、ちゃんと立ち止まって謝るのに。
大人って、急いでたら謝らなくていいの?
ママもいつも「悪いことしたら謝りなさい」って言うじゃん。なんで大人は謝らないの?
(ドキッとした。今朝、娘に謝れなかった自分のことを思い出す)それは……
私は言葉に詰まりました。
スーパーの帰り道、車の中。さっきの出来事が脳裏をよぎります。レジ待ちの列で、急いでいたのであろう男性が娘の肩を弾くようにして追い越していった。娘がよろけるほどの衝撃だったのに、その人は謝罪の一言もなく消えていきました。
娘の問いは、あまりにも純粋で鋭くて。子どもには「悪いことをしたら謝りなさい」と教えているのに、いざ大人の世界を見渡すと不自然なほど「ごめんね」が消えている。そしてその言葉は、まるで自分自身に向けられた刃のように、私の胸に深く突き刺さったのです。
娘に「なんで?」と聞かれて気づいた、私自身の過ち
実は、その日の朝の自分を思い出して猛烈に恥ずかしくなりました。
仕事の準備に追われていた私は、こぴよが描いた絵を見せてきたとき、顔も見ずに「後でね」と突き放してしまった。しょんぼりと絵を引っ込めた娘の顔が、今さら浮かんできます。
本当は、その瞬間に謝ればよかった。でも私は忙しさを理由に、そのまま出かけてしまったのです。
夜になっても、「ごめんね」が言えませんでした。謝るタイミングを逃して、なんとなくそのままにしてしまった。だから、娘に「なんで大人は謝らないの?」と聞かれたとき、スーパーの男性のことではなく、自分のことを言われている気がして、言葉が出なかったのです。
喉の奥で止まってしまう、かっこ悪いプライド
大人には、変なプライドがあります。心理学で「自己脅威(Self-threat)」と呼ばれる心の防衛本能。間違いを認めることが、自分の価値を下げることのように感じて、脳が勝手に拒否反応を起こしてしまうんです。
特に親という立場にいると、間違いを認めることが「自分の威厳を失う」と感じてしまう。でも、本当は逆でした。謝れない親のほうが、子どもからの信頼を失っていくのです。
社会生活の中で、私たちは謝ることを「責任をすべて負わされること」や「勝ち負け」の問題として捉えてしまう癖がついています。しかし、オーストラリアのクイーンズランド大学の研究によれば、適切な謝罪はむしろ「相手からの信頼を回復し、評価を高める」ことが証明されています。
それなのに、なぜ私たちは「謝ったら負け」のような気がしてしまうんでしょうか。
親という立場を守ろうとして、逆に一番大切な誠実さを捨てていたのは、私の方でした。
完璧な親より、やり直せる親でいたい
児童精神科医のウィニコットは、「ほどよい母親(Good-enough mother)」という言葉を遺しました。
完璧である必要なんてない。失敗しても、その都度子どもとの関係を修復していける親こそが、子どもの心を強く育てる。
発達心理学の視点で見ると、親が自分の非を認めて謝る姿を見せることは、子どもにとって最高のお手本(モデリング)になります。
「間違えたら謝ればいいんだ」という安心感を与え、子ども自身も素直に謝れるようになる。謝罪は関係を「修復」するプロセスです。親が謝る姿を通じて、子どもはトラブルが起きた後の「仲直りのスキル」を学びます。
そして、親に無視されたり冷たくされたりしたとき、子どもは「自分が悪いからだ」と自分を責めてしまいます。親が謝ることで、子どもは「自分が大切にされている」と再確認できるのです。
その言葉を信じて、私は家に帰ってから、寝る前のこぴよに真っ直ぐ向き合うことにしました。
子どもを大切に思うからこそ、どんな言葉をかければいいか迷うこともあります。
こちらの本は、頑張りすぎているママの心を軽くしながら、親子が笑顔になれる具体的な「口ぐせ」を教えてくれます。
おすすめなので興味があったらどうそ。
「ママの方がかっこいいよ」娘の言葉が教えてくれたこと
ぴよ: ねえ、今朝のこと、ごめんね。絵を見せてくれたのに、ちゃんと見なくて
こぴよは少し驚いた顔をして、でもすぐにパッと笑顔になりました。
こぴよ: いいよ! でも、ママが謝ってくれて嬉しい。さっきのおじさんより、ママの方がかっこいいよ
その言葉に、視界がじんわり滲みました。
謝ることは、威厳を失うことじゃない。むしろ、離れそうになった心の距離を、もう一度ぎゅっと結び直すための魔法だったんだと気づかされました。
「なんで大人は謝らないの?」娘が投げかけたその問いは、私たち大人が忘れかけていた「素直さ」を取り戻すための大切なアラームでした。
完璧にはできないかもしれません。ついイライラして、また謝るタイミングを逃すこともあるでしょう。でも、間違えたときに「ごめんね」と言える親でいれば、子どもは安心して前を向くことができます。
こぴよ: ママ、明日もちゃんと謝れる?
ぴよ: うん、ちゃんと謝るよ。でも、たまに忘れちゃうかもしれないから、そのときは教えてね
こぴよ: わかった!
娘は少し笑って、布団に入りました。
少しずつでいい。子どもと一緒に成長していける、そんな「謝れる大人」でありたいと思います。
最後まで読んでくれてありがとう!
また気になるの、見つけたら紹介するね!
