頑張る人の話を、静かに読みたい気分かも。
それなら、結果よりも
見守る気持ちが描かれている物語がいいね。
読んだあと、どうなる感じ?
自分や誰かを少しやさしく見られるよ。
ピッタリの本、紹介するね!
『アルプス席の母』とは?
どんな人におすすめ?
この本は、「頑張るって何だろう」と立ち止まったことのある人に、ぜひ読んでほしい一冊です。
野球のルールがわからない人や母親ではない人でも、まったく問題ありません。
描かれているのは勝敗や技術ではなく、努力すること、報われない時間、そしてそれを見守る側の気持ちだからです。
- 部活や仕事で、結果が出ない時間を経験したことがある人
- 誰かの期待に応えようとして、苦しくなったことがある人
- 「自分のために頑張る」ことが分からなくなったことのある人
- 親や身近な人との関係を、ふと振り返りたくなった人
そんな心の揺れを持つ人に届く物語だと思います。
この本を読んで感じたこと
正直に言うと、この作品は本屋大賞のノミネートがなければ、手に取っていなかったかもしれません。 なぜなら私は「アルプス席」の意味さえ知らない野球ど素人で、しかも母でもない。この本のターゲットではないと思っていたからです。
けれど、もし同じ理由で読むのを迷っている方がいるなら、声を大にして伝えたいです。ルールがわからなくても全く問題ありません。それでも、物語は驚くほど心に迫ってきました。
物語は、冒頭の「本当は女の子のお母さんになりたかった。」という一文から始まります。この一文で、心を掴まれた読者は多いのではないでしょうか。私もそのひとりでした。
高校野球を舞台に描かれるのは、グラウンドに立つ選手だけではありません。ベンチに入れない子、スタンドから声援を送る子、そしてアルプス席で見守る母・菜々子の視点が、丁寧に描かれていきます。
頑張った分だけ全員が評価されて全員が試合に出られたら、どれほど平和だろうか。そんな理想を思い描きながらも、現実は決して甘くありません。嬉しい、楽しい、悔しい、辛い。さまざまな感情を経験していく航太郎と菜々子の姿に、何度も胸が締めつけられました。
子どもを持ったことがない私でさえ、いつの間にか母親のような気持ちで読み進めていて、一緒に緊張し、何度も涙がこぼれました。
読んでいるうちに、こんな問いが浮かびます。親のために頑張るということは、本当に親が望んでいることなのか。その気持ちは嬉しいかもしれないけれど、実は「自分のために頑張ってほしい」と思っているのではないか。
高校時代、部活動をしていた自分の記憶も重なりました。
「負けてきたチームの分まで、私たちは頑張らないといけない」
そんな言葉を口にしていたことがあります。
今思えばとても綺麗事で、私たちは私たちのために、もっと自由に、楽しんでプレーしてよかったのだと思います。当時の声かけが本当に適切だったのか、少し後悔も残りました。
また、親への感謝についても考えさせられました。感謝しているつもりではいたけれど、航太郎のように、面と向かって伝えられていただろうか。思春期で恥ずかしいはずなのに、真っ直ぐ言葉にする航太郎が、とても愛おしく感じられます。
野球小説でありながら、これは間違いなく「人の気持ち」を描いた物語です。読後、静かに余韻が残り、長く心にとどまりました。
私にとっては、今年のベスト本候補に間違いなく入る一冊です。
最後に
野球のルールがわからなくても、母親でなくても、きっと心に残る物語です。
少しでも気になった方は、下のリンクからチェックしてみてください。
最後まで読んでくれてありがとう!
これからもたくさん本を紹介するねっ!
