傷ついた心に静かに寄り添う小説『カフネ』を紹介します。無理に前を向かなくてもいいと感じられる、再生の物語です。
前向きにならなくて良い本、読みたいな。
それなら、元気づけるより側にいてくれる物語がいいね。
読んだあとどうなる感じ?
少し心が整って、深く息ができるようになる。
ぴったりの物語、紹介するね!
『カフネ』とは?
どんな人におすすめ?
この本は、大きな出来事のあとでうまく前を向けなくなってしまった人におすすめしたい一冊です。
頑張ろうとしても気持ちがついてこないとき、
前向きな言葉に疲れてしまったとき。
そんな状態でも、無理なく手に取れる物語だと思います。
特に、
- 大切なものを失った経験がある人
- 誰かを励ます言葉が見つからず、ただ寄り添いたいと思ったことのある人
- 「元気にならなくていい」と言ってもらえたら救われると感じたことのある人
- 日常を立て直すことに、エネルギーが必要な人
そんな気持ちに、そっと寄り添ってくれる一冊です。
髪を撫でるみたいに、そっと寄り添う物語
主人公の薫子は不妊治療の末に離婚し、さらに最愛の弟である春彦を突然亡くします。人生の中で立て続けに大きな喪失を経験し心も生活も崩れてしまった状態から、この物語は始まります。
そんな絶望の中で出会うのが、弟の元恋人であるせつなです。ふたりは家事代行サービス「カフネ」で共に働き始めることで少しずつ日常を、そして心を取り戻していきます。
ここから先は読む人によって受け取り方が変わる部分もあるため詳細は控えますが、本作はとても現代的なテーマを扱っていると感じました。不妊治療、同性愛、セルフネグレクト。どれも簡単に語ることができない問題ですがこの物語はそれらを声高に主張することなく、あくまで静かに丁寧に描いています。
タイトルである「カフネ(cafuné)」は、「大切な人の髪をやさしく撫でる仕草」を意味する言葉だそうです。その言葉の通りこの物語では登場人物たちが互いの痛みにそっと触れ合いながら、少しずつ再生していきます。
誰かを無理に励ますわけでも前向きな言葉を投げかけるわけでもありません。ただそこに寄り添い、同じ時間を過ごす。その距離感がとてもやさしく、読んでいて胸が温かくなりました。
料理や家事を通じて人の心に寄り添う描写も印象的です。温かい食事をとること、部屋を整えること。それは単なる生活の営みでありながら、「生きること」そのものを支えているのだと、改めて感じさせられました。
登場人物たちは決して劇的に変わるわけではありません。昨日より少し眠れるようになる、誰かと同じ食卓を囲めるようになる。その小さな変化の積み重ねがどれほど尊いものなのかを、この物語は教えてくれます。大きな言葉では救われなかった心に、静かに効いてくる優しさがありました。
この本を読んでから、「カフネ」という言葉を目にしたり、耳にしたりするたびに、自然とやさしい気持ちになれるような気がしています。言葉が持つ力や、物語が心に残す余韻の大きさを実感しました。
派手な展開があるわけではありません。けれど、人生の中で傷ついたことがある人ならきっとどこかで立ち止まり、深く息をつきたくなる一冊だと思います。こうした本との出会いがあるから、やはり読書はやめられません。
この本を読んで、私の日常が少し変わったこと
この本を読んでから、落ち込んだ日ほど「生活」を丁寧に扱ってみようと思えるようになりました。
ちゃんと食べる、部屋の一角だけでも整える、湯気の立つものを口にする。そういう小さな営みが、心を励ますより先に心を支えてくれることがあるのだと知ったからです。
大切な人にかける言葉も少し変わりました。元気づけるより黙って隣にいること。同じ時間を過ごすこと。派手な回復じゃなくても昨日より少し眠れたら十分だと、自分にも他人にも思えるようになりました。
最後に
静かでやさしい物語に、そっと包まれたいときに。
気になった方は、下のリンクからチェックしてみてください。
最後まで読んでくれてありがとう!
これからもたくさん本を紹介するねっ!


