恋愛における「信じる」という言葉の重さを描いた小説『恋とか愛とかやさしさなら』を紹介します。迷いや不安を抱えた気持ちに静かに寄り添う内容です。
「信じる」って、簡単な言葉じゃないよね。
うん。
強い言葉に見えるけど、実はいちばん不安なときに使う言葉かもしれない。
そういうこと、ちゃんと考えさせられる本ないかな。
それなら、ピッタリの本があるから紹介するね!
『恋とか愛とかやさしさなら』とは?
タイトル:恋とか愛とかやさしさなら
著者:一穂ミチ
出版社:小学館
出版年:2024年
ジャンル:小説・国内小説/恋愛・人間ドラマ
受賞歴:2025年本屋大賞ノミネート作品(第7位入賞
どんな人におすすめ?
この本は、「信じるって、どういうことだろう」と一度でも考えたことのある人におすすめしたい一冊です。
恋愛の話ではありますが、甘さや理想を描いた物語ではありません。
むしろ、信じたい気持ちと、不安や疑いが同時に存在してしまう現実を、とても正直に描いています。
特に、
- 相手を信じたいのに、どこかで不安を抱えてしまったことがある人
- 長く一緒にいたからこそ、簡単に答えを出せなくなった経験のある人
- 「信じる」という言葉を、少し重たく感じたことのある人
- 恋愛や人間関係において、正解が分からなくなったことのある人
そんな人の心に、静かに引っかかる物語だと思います。
「信じたい」は、やさしさか自己防衛か—正解のない恋の物語
プロポーズされた翌日に、恋人が盗撮で捕まったーー。
この一文だけを頼りに、ほとんど予備知識のないまま読み始めました。正直、最初は冤罪なのだろうと思っていました。過去に何気なく撮った写真が炎上したとか、そういう話なのだろう、と。
けれど読み進めてすぐ、その予想は裏切られます。彼は本当にしている。それも五年付き合って三十歳で、プロポーズの翌日に。あまりに残酷なタイミングに言葉を失いました。「え、なんで?」という気持ちが、何度も頭の中を巡ります。主人公の新夏のように、理解はできない。それでも「信じたい」という気持ちだけは痛いほどわかりました。
本来であれば、「そんなことしていないと信じたい」。けれどその希望は物語の序盤であっさりと潰されます。
では、「もう二度としないと信じたい」。そう思いたくなるのも自然ですが、現実はそんなに単純ではありません。
もし新夏が二十歳だったら。付き合って二ヶ月、長くても一年だったら。こんなにも悩むことはなかったのかもしれません。年齢、積み重ねてきた時間、共有してきた未来の話。それらすべてが、「簡単には決められない」という状況をつくり出していきます。
「信じるという行為は、ひたすらに純度を求められる」(P101)
この言葉が、ずっと心に残りました。
この物語には、どうしていたら正解だったという答えはありません。別れるのが正しいのか、支えるのが正しいのか。どちらを選んでもきっと苦しさは残ります。
読みながら、以前に芦田愛菜さんが話していた言葉を思い出しました。
「信じる」という言葉を口にするのは、不安な自分がいるからこそ、成功した自分や、理想とする人物像にすがりたい気持ちがあるのではないか、という趣旨の言葉です。
この考えが、この物語にはとてもしっくりきました。「信じたい」という気持ちは、相手のためであると同時に、不安な自分自身を守るための言葉でもあるのかもしれません。
それでもすべてを受け止めた上で、別れるか、別れないか。結局、簡単には決められないのです。だからこそ、この物語は読み終えても終わりません。 恋や愛、やさしさ、そして「信じる」ということについて、これほど考えさせられた作品は久しぶりでした。明確な答えは出ないけれど、考え続けてしまう。
そんな余韻が、静かに残る一冊です。
この本を読んで、私の日常が少し変わったこと
この本を読んでから、「信じる」という言葉を前より慎重に使うようになりました。大丈夫だよ、と言い切って安心したい自分がいることも、同時に見ないふりをしたくなる自分がいることも、ちゃんと自覚するようになったからです。
それから、人のことも自分のことも、簡単に「正解」で片づけない。白か黒かで断定する前に、「今の私は何が怖いんだろう」「何を守りたいんだろう」と一度立ち止まる癖がつきました。
誰かを信じるのは尊いけれど、信じるふりで自分をすり減らさないことも同じくらい大事です。そう思えるようになって少しだけ、自分の境界線を大切にできるようになりました。
最後に
恋愛における「信じる」という言葉に、少しでも立ち止まったことがある方へ。
読み終えたあとも、考え続けてしまう物語です。
気になった方は、下のリンクからチェックしてみてください。
最後まで読んでくれてありがとう!
これからもたくさん本を紹介するねっ!

