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みんなに好かれなくても良いと思える小説ーー『成瀬は信じた道をいく』

森の中の道を歩きながら前を見つめる、リュックを背負った若い人物のイラスト 読書感想
※本記事には広告が含まれる場合があります。

るな
るな

みんなに好かれなくてもいいって
本当はわかっているはずなのに難しいよね。

ここん
ここん

うん。
でも、自分を大切にしてくれる人がいるならそれで十分なのかもしれない。

るな
るな

そんな風に思わせてくれる話、いいな。

ここん
ここん

ぴったりな物語があるから紹介するね!


『成瀬は信じた道をいく』とは?

タイトル:成瀬は信じた道をいく
著者:宮島未奈
出版社:新潮社
出版年:2024年
ジャンル:青春小説・連続短編集
受賞歴:2025年本屋大賞にノミネート

どんな人におすすめ?

この本は、「自分の選んだ道をこのまま信じていいのか迷っている」そんな人にこそ手に取ってほしい作品です。
物語は前作と同じく短いエピソードを重ねながら進んでいきます。文章も平易で読みやすく、久しぶりに小説を読む方や、重たい物語がしんどいと感じるときでも無理なく読み進められます。

また、

  • 何かに挑戦したいけど一歩が踏み出せない人
  • 周りと違うことに不安を感じている人
  • 自分のままでいいのか迷っている人

そんな気持ちを抱えているときに、そっと寄り添ってくれる一冊です。

この本を読んで感じたこと

 『成瀬は天下を取りにいく』がとても面白く、勢いのまま手に取ったのが本作でした。続編と聞くと、前作を超える結果や成長が描かれるのかと身構えてしまいますが、読み終えて心に残ったのは、そうした「成果」よりも人との関わり方でした。

 成瀬あかりは、やはり少し変わった人物です。思ったことを率直に口にし、周囲に合わせすぎることはありません。けれどその一方でとても真っ直ぐで素直、そして義理堅い一面を持っています。自分に嘘をつかず、相手を軽く扱うこともしない。その姿勢が読んでいて心地よく感じられます。

 だからこそ、成瀬が困ったときには、友だちや家族が自然と手を差し伸べます。特別に助けを求めるわけでもなく、声高に訴えるわけでもありません。それでも「助けたい」と思わせてしまうのが、成瀬という人物なのだと思いました。

 もちろん、すべての人が成瀬を理解するわけではありません。
深く関わらない人たちから見れば、「少し変わった人」として受け止められてしまう場面もあります。 それでも成瀬は、無理に自分を理解してもらおうとはしません。自分を大切にしてくれる人たちとの関係を、静かに選び取っているように感じられました。

 読みながら、こんな思いが浮かびました。きっと大切なのは、誰からも好かれることではなく、自分を大切にしてくれる身近な人がいることなのだと。

 前作では、成瀬の行動力や好奇心に目を奪われましたが、本作では成瀬を取り巻く人々の存在がより印象的に描かれています。友だちとの距離感や家族との関係が、過剰な演出なく淡々と描かれている点も、この作品の魅力です。

 「先のことはわからないからなんとも言えないが……。何になるかより、何をやるかのほうが大事だと思っている」(P26)

 シンプルだけど、成瀬あかりの印象的な言葉です。

 文章はテンポがよく、小説に慣れていない方でも読みやすい構成になっています。続編ではありますが本作から読んでも楽しめますし、前作を読んでいる方であれば、成瀬という人物をより深く理解できる一冊だと思います。

「信じた道をいく」というタイトルは、派手な成功を指しているわけではありません。
自分を理解してくれる人を信じ、その関係を大切にしながら進んでいくこと。
その姿勢こそが、この物語の核なのだと感じました。

 

最後に

前作を読んで、成瀬とその後が気になった方にはこちらもおすすめです。成瀬のまっすぐさと、人との距離感が丁寧に描かれた続編になっています。気になった方は下のリンクからチェックしてみてください。

成瀬は信じた道をいく [ 宮島 未奈 ]

ここん
ここん

最後まで読んでくれてありがとう!
これからもたくさん本を紹介するねっ!

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